ここではお子様がかかる泌尿器科の対象疾患を説明します。
夜尿症(おねしょ)
乳幼児のときは、尿が貯まると反射的に排尿しますが、年齢が進むにつれて尿をためておくことができるようになります。5~6歳をすぎたころから、夜尿症は落ち着いてくると言われますが、この成長過程には個人差があるため、夜尿症で困る小児は少なからずいます。
ある調査によりますと5~9歳では10%前後、10~12歳で5%前後との報告があります。
その原因ははっきりしませんが、春先や新学期に多いとの報告から家庭や学校でのストレスを原因とする説や、成長の発達の遅れを原因とする説もあります。夜間の水分摂取を注意するなど生活改善をすることで軽快する場合や薬が効果的である場合もありますが、確実にすぐ効く治療はなく、経過をみながら治療していく必要があります。
お子様の精巣の病気
陰嚢水腫
陰のうに液体が貯まり腫れたもので、痛みはありません。乳幼児の陰嚢水腫は多くの場合は1歳までに治癒しますが、2歳を過ぎても治癒しない場合は手術を考慮します。成人の場合は、注射針を穿刺して排液することも行われますが、再発することが多く手術を考慮します。
停留精巣
精巣は胎児のときに陰のうまで下降してきますが、完全には下降しないでおなかや鼠径部にとどまっているものです。不妊症や精巣腫瘍になる可能性もあるため、1歳までは自然に下降する可能性があり経過観察しますが、1歳を超えると下降することが期待できないので手術を考慮します。
精巣捻転
精巣が回転してねじれ血流障害をおこすもので、放置すると精巣が壊死して機能がなくなります。思春期に多く、突然の陰のうの痛みと腫れを伴います。発症から6~8時間以内に手術で戻さないと精巣機能が低下するため緊急を要します。
お子様の包皮の病気
亀頭包皮炎
炎症や包茎が原因として起こります。尿道の痛みや排尿時の痛みなどの症状があります。抗菌薬やステロイドの軟膏で治療します。
真性包茎
包皮の先端が狭く、亀頭が露出できない状態です。一方で、包皮をむくことができるが、普段は包皮が亀頭をおおっている状態が仮性包茎です。真性包茎であっても年齢とともに包皮をむくことができるようになります。思春期では10%程度の方が真性包茎の状態です。小児では、亀頭包皮炎をくり返す場合は手術を考慮しますが、普通は経過観察、または軟膏治療で様子を見ます。思春期をすぎても真性包茎の状態であれば、手術を考慮します。
恥垢
包茎のある男児の包皮の中に白色の柔らかい塊をみることがあり、それを恥垢と言います。包皮がむけるようになれば取れるのでとくに治療は不要ですが、包皮炎などの症状があれば包皮と亀頭との癒着を外します。